【レビュー】小説『新選組藤堂平助』(秋山香乃)【泣ける】
こんにちは、レビュアーの豆腐ちゃんよ。
今日は女流作家の新選組小説について語らせてもらうわ。
新選組の小説でまず読むべきなのは司馬遼太郎先生、もちろんこれは間違いないわよ。
で、他の巨匠の面々も傑作をたくさん出していらっしゃるわけだけど。
秋山香乃さんはその方々に比べると、若干新しめの(比較した場合であって、活動はとても長く濃いわよ!)作家さんなの。
あたしは新選組入門としてこの方の作品をオススメするわ。
沖田総司や土方歳三の小説も書いていらっしゃるけど、今日は『藤堂平助』を紹介するわよ。
この方の文章は女性らしい情緒的な感じで、とにかく描写がきれいなのが特徴なの。
登場人物の心がかなり繊細に動いていくのよね。
藤堂平助は新選組の「有名隊士」の中では、どちらかというとマイナーな方に入るかも知れないけど、この作品では細やかな心の動きが生き生きと描かれていて、感情移入しまくりよ。
彼は最終的に新選組を抜けて、分隊に参加して、かわいそうな結末になってしまうわけだけど。
秋山さんはじわじわと追いつめられていく悲劇の主人公を描くのが本当にうまいのよ!
「裏切り者」としての自分と向き合う切ない描写は本当に切なすぎるわ。
あたしは別に藤堂は裏切り者とは思わないんだけど。
変わったのは藤堂ではなくて、近藤や土方の方だったと思うもの。
ちなみに史実でも美男と伝えられる平助は、ここでは小柄な美少年として登場し、王子様ルックみたいな感じでラストまで突き進むわよ(笑)。
この人の小説はとにかく美形キャラがインフレを起こすのが特徴の一つなのよね。
まあ別に挿絵があるわけじゃないし、内面的魅力がしっかりと描かれているから、そういう少女漫画的キャラ造形にひどいアレルギーがなければ大丈夫だと思うわ。
歴史小説や時代小説に付き物の流血シーンは比較的控えめね。
でも、作者自身が居合いか何かの達人でいらっしゃるのよ。
だからか分からないけど、殺陣にはすごく迫力があるわ。
ほんと、まるで自分が真剣を握ってるみたいな錯覚を受けるぐらい。
多くの男性作家が書く新選組もののような生臭さはないけど、ダイナミックにかっこよく男たちが戦い、かっこよくシんでいくのよね。
物語は土方と藤堂の精神的繋がり、決別を主軸としているから、一説には「土方と藤堂のBL」になっているという話もあるけど……まあ、あたしも腐女子的観点から「うひょっ!」と思ったことを強く否定はしないわ。
まあ、そう思いたい方はそれでOKな作品、って程度だから安心することよ。
あ、でも……具体的な描写はないけど、衆道が一瞬だけ出て来るので、苦手な人は注意が必要ね。
でも天下の司馬先生の方が、そういうシーンをしっかりと生々しく描いていらっしゃったから、大丈夫じゃないかしら。
そんなわけで、なんだか腐向けのレビューに思えたかも知れないけど、いろんな意味で幅広い層に燃えと萌えを提供する、女流作家らしい繊細なタッチの新選組ものだとあたしは思うわ。
この作品を読んだ人とぜひ語り合いたいものよ。
じゃあバイバイ。
あなたを心から愛してるわ。
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